オフィスのレイアウトを検討する際、「ローパーテーションとは何か」という基本的な疑問を持つ方は少なくありません。低めの間仕切りとして知られるローパーテーションですが、種類や高さ、価格帯まで理解しておくと導入の判断がしやすくなります。本記事では定義から選び方、活用事例、価格相場まで、業界の実務に役立つ情報を整理してお伝えします。
ローパーテーションとは

ローパーテーションとは、一般的な間仕切りよりも低い高さで空間を区切る什器を指します。オフィスのレイアウト設計において、視線を完全に遮断せず、ゆるやかにゾーニングする目的で採用されるケースが増えています。まずは定義や名称の由来、高さの目安から押さえていきましょう。
ローパーテーションの定義
ローパーテーションとは、床置き型や自立型の間仕切り什器のうち、一般的な高さ(150cm前後)よりも低く設計されたものを指す呼称です。天井まで届く固定間仕切りとは異なり、可動性を持たせた製品が多く、オフィスや店舗のレイアウトに合わせて設置場所を柔軟に変えられる点が特徴です。区切りたい空間の広さや用途に応じてサイズ展開が豊富にあり、部署間の緩やかな仕切りから個人デスクの目隠しまで幅広い場面で使われています。
パーテーションにおける「ロー」の意味
「ロー(low)」は英語で「低い」を意味し、パーテーション業界では高さ区分を示す言葉として定着しています。対義語にあたる「ハイ(high)」は天井近くまで届く高さの製品を指し、両者は設置目的によって明確に使い分けられます。ローパーテーションという呼び方自体に厳密な国際規格があるわけではなく、各メーカーが自社製品の高さ帯に応じて表記を定めているのが実情です。そのため発注時には具体的な高さ寸法を確認することが欠かせません。
一般的な高さの目安
ローパーテーションの高さは、座位の視線を遮る600mm前後から、立った状態でも顔が見え隠れする1,200mm前後まで幅があります。多くのメーカーでは900mm〜1,200mmの範囲を主力ラインとして展開しており、デスクワーク中の視線対策として選ばれることが多い帯域です。設置目的が「軽い視線遮断」なのか「完全な目隠し」に近いのかによって、選ぶべき高さは変わってくるため、次章で解説する選定理由と合わせて検討するとよいでしょう。
ローパーテーションがオフィスで選ばれる理由

ローパーテーションが多くのオフィスで採用されている背景には、空間の見え方や働き方の変化が関係しています。ハイパーテーションとの違いを踏まえながら、緩やかな区切りが求められる理由を見ていきましょう。
ハイパーテーションとの違い
ハイパーテーションは天井近くまで高さがあり、視線・音ともにしっかり遮断できる反面、空間が閉塞的になりやすい傾向があります。一方でローパーテーションは、座った状態の視線をゆるやかに遮りながらも、立ち上がれば周囲の様子が見渡せる高さに抑えられています。会議室のように完全な独立空間が必要な場面ではハイパーテーション、フリーアドレス席のようにオープンさを残したい場面ではローパーテーションという住み分けが一般的です。導入前にはオフィス全体の動線や採光への影響も含めて比較するとよいでしょう。
完全な間仕切りではなく緩やかに区切る目的
ローパーテーションは部屋そのものを分割するのではなく、ゾーンの境界を視覚的に示す役割を担います。壁のように空間を固定してしまわず、必要に応じて配置を変えられる柔軟性が評価されているポイントです。たとえば執務エリアと休憩エリアの境目にローパーテーションを一列並べるだけで、明確な線引きをしなくても自然と行動範囲が分かれていきます。工事を伴わずに空間の意味づけができる点は、賃貸オフィスやレイアウト変更が頻繁な現場との相性のよさにつながっています。
開放感とプライバシーを両立できる背景
近年のオフィスデザインでは、コミュニケーションのしやすさと集中できる環境の両立が求められています。天井まで届く壁で仕切ってしまうと孤立感が生まれやすく、逆に何も仕切りがないと視線が気になって集中しづらいという声も少なくありません。ローパーテーションはその中間を担う存在として、光や気配は感じつつも作業に没頭できる程よい距離感をつくり出します。オープンオフィスの開放感を保ちながら適度な区切りを設けたいというニーズに応える選択肢として定着してきました。
ローパーテーションの種類

ローパーテーションと一口に言っても、素材や機能によって用途は大きく異なります。ここでは代表的な7つのタイプを紹介し、それぞれの特徴と適した設置シーンを整理します。
布張り(クロス)タイプ
布張りタイプは表面にファブリックを張った製品で、オフィス家具との調和がとりやすく柔らかな印象を空間に与えます。色やテクスチャのバリエーションが豊富で、既存の内装カラーに合わせたコーディネートがしやすいのも魅力です。表面がクッション性を持つため、ピンやマグネットで簡単な掲示物を留められるタイプも見られ、簡易的な掲示スペースとして活用されることもあります。汚れがつきやすい環境では防汚加工が施された製品を選ぶと安心です。
木目調タイプ
木目調タイプは表面材にメラミン化粧板や突板を使用し、木の質感を再現したデザインが特徴です。ナチュラルテイストやウッド調の家具でまとめられたオフィスとの親和性が高く、温かみのある空間づくりに向いています。無機質になりがちなパーテーションの中でも視覚的な柔らかさを演出しやすく、応接スペースやエントランス周辺での採用例が多く見られます。木目の色調はライトからダークまで幅があるため、床材や什器のトーンと合わせて選定するとまとまりのある空間になります。
アクリル・透明パネルタイプ
アクリルや強化ガラスなどの透明パネルを使ったタイプは、視線を大きく遮ることなく空間を区切れる点が特長です。光を通すため部屋全体の明るさを損なわず、圧迫感を抑えたいエリアでの導入が向いています。近年は飛沫対策として受付カウンターや対面デスクに設置されるケースも増え、衛生面への配慮とデザイン性を両立できる選択肢として注目されています。傷や指紋が目立ちやすい素材のため、定期的な清掃を前提に運用する必要があります。
吸音タイプ
吸音タイプはウレタンフォームやフェルト系の吸音材を内部や表面に組み込み、音の反響を軽減する機能を持たせた製品です。完全な遮音までは期待できないものの、キーボード音や会話のこもりを和らげ、フロア全体の耳障りな反響を抑える効果があります。オープンスペースにデスクが密集するレイアウトでは、視線対策と合わせて音環境を整える手段として選ばれています。吸音性能はメーカーごとに数値表記が異なるため、カタログの吸音率を確認して比較するとよいでしょう。
グリーン(人工観葉植物)タイプ
グリーンタイプはフレームに人工の観葉植物を組み込んだ製品で、区切りとしての機能と緑化によるリラックス効果を同時に得られます。水やりや剪定の手間がかからず、日照条件を気にせず設置できる点が実務上のメリットです。無機質になりがちなオフィス空間に自然な彩りを加えられるため、休憩スペースやエントランス、来客対応エリアでの採用が目立ちます。フェイクグリーンの質感は製品によって差があるため、実物サンプルで確認してから選定するのが安心です。
キャスター付き移動式タイプ
キャスター付きタイプは脚部に車輪が付いており、床を傷つけずに配置換えができる点が最大の利点です。会議室のレイアウト変更やイベント時の一時的なゾーニングなど、頻繁にレイアウトを変える現場との相性が良好です。ロック機構付きのキャスターを選べば、設置後の不用意な移動を防ぎつつ必要な時だけ動かせる運用も可能になります。床面が段差やカーペットの場合は、キャスターの適合サイズを事前に確認しておくとスムーズです。
連結・床置きタイプ
連結・床置きタイプは複数枚を横に繋げて長い間仕切りラインをつくれる製品で、フロア全体のゾーニングに向いています。専用のジョイント金具で角度をつけた配置も可能な製品が多く、L字やコの字型に区画を組みたい場合にも対応しやすい構造です。床に置くだけで自立するタイプが主流のため工事は不要ですが、地震対策として転倒防止金具の使用を推奨するメーカーもあります。長期的に同じ配置で使う執務エリアの区分けに適しています。
ローパーテーションのメリット

ローパーテーションを導入する企業が増えている背景には、コストと機能面での実用的なメリットがあります。ここでは代表的な5つの利点を具体的に見ていきましょう。
視線を遮り集中力アップにつながる
座った状態での視線をさえぎることで、周囲の動きが視界に入りにくくなり、作業への集中を保ちやすくなります。オープンフロアでは人の往来や画面の光が気になりやすく、集中を妨げる要因になりがちです。ローパーテーションを一枚挟むだけでも心理的な区切りが生まれ、自分の作業スペースという意識が芽生えやすくなります。完全な個室化ではないため、必要なときには周囲とのやり取りもしやすい距離感が保たれます。
工事不要で設置できる
床置き型や自立型のローパーテーションは、壁や床への固定工事を必要としない製品がほとんどです。搬入した当日から使用を開始できるため、レイアウト変更の計画から実施までのリードタイムを大幅に短縮できます。原状回復義務のある賃貸オフィスにおいても、退去時に壁面へ傷を残す心配が少なく、契約条件との折り合いをつけやすい点が実務上の利点です。
使用用途の変更に柔軟に対応できる
固定壁と異なり、ローパーテーションは配置を変えるだけで空間の使い方を組み替えられます。たとえば繁忙期は執務スペースを広げ、閑散期には休憩エリアを拡張するといった調整も、什器の移動だけで完結します。組織変更や増員に伴う座席配置の見直しが多い企業ほど、この柔軟性の恩恵を受けやすいといえるでしょう。
費用を抑えて導入できる
天井まで届く固定間仕切りに比べ、ローパーテーションは使用する部材量が少ないため製品単価を抑えやすい傾向があります。工事費用がかからない点も含めると、初期投資全体を圧縮しやすい選択肢です。予算に応じて設置範囲を段階的に広げていく運用もしやすく、限られた予算内でオフィス環境を整えたい場合の現実的な手段となります。
レイアウト変更がしやすい
移動や組み替えが前提の製品構造になっているため、部署の統合や座席replacementといった変化にも柔軟に対応できます。キャスター付きタイプであれば数分の作業で配置を変えられ、連結タイプでも工具の要らないジョイント式が主流です。組織の成長スピードに合わせてオフィスの形を変えていきたい企業にとって、扱いやすさは見逃せない要素です。
ローパーテーションのデメリット

利便性の高いローパーテーションですが、導入前に理解しておくべき限界も存在します。過度な期待を避けるためにも、代表的な3つの注意点を確認しておきましょう。
防音・遮音効果は見込めない
吸音タイプであっても、音を完全に遮断する遮音性能を持つわけではありません。あくまで反響や音の伝わり方を和らげる程度にとどまり、会話の内容がはっきり聞こえてしまう場面は残ります。機密性の高い商談や電話対応が頻繁に発生するエリアには、天井まで届く防音仕様のパーテーションや個室ブースの検討が必要です。
在席状況が見えにくくなる
座席の視線を遮る効果が高まるほど、離席状況や在席確認がしにくくなる側面があります。声をかけようとしても姿が見えず、内線や社内チャットでの確認が必要になる場面が増えるかもしれません。フロア全体の在席管理をシステムで補完している職場でなければ、高さの選定時にこの点を考慮しておくと安心です。
高さによっては目隠し効果が限定的
600mm前後の低いタイプは圧迫感を抑えられる反面、立ち上がった際や隣席からの視線までは遮り切れません。目隠し効果を重視する場合は1,200mm前後の高さを選ぶ必要がありますが、その分オープン感は薄れます。設置目的と得たい効果のバランスを踏まえ、複数の高さをサンプルで比較してから決定するのが望ましいでしょう。
ローパーテーションの選び方

ローパーテーションは種類が豊富なため、目的を明確にしてから絞り込むことが失敗を避けるコツです。ここでは5つの視点から選定のポイントを整理します。
設置目的から選ぶ
視線対策なのか、ゾーニングなのか、装飾的な意味合いが強いのかによって最適な製品タイプは変わります。目的が曖昧なまま選定を進めると、設置後に「思っていた効果が得られない」というギャップが生まれがちです。まずは解決したい課題を書き出し、それに合う機能を持つタイプへ絞り込む流れがおすすめです。
高さから選ぶ
座位の視線を遮りたいのか、立位でも視線を遮りたいのかによって適切な高さは変わります。600mm前後は開放感重視、900mm〜1,200mmは視線遮断とオープン感のバランス重視といった目安を持っておくと選びやすくなります。実際にオフィスの椅子に座った状態で高さを確認できるショールームの活用も検討してみてください。
素材・デザインから選ぶ
布張り、木目調、アクリルなど素材によって空間の印象は大きく変わります。既存の内装や家具のトーンと調和させることで、後付け感のない自然な仕上がりになります。耐久性やメンテナンス性も素材ごとに異なるため、設置場所の使用頻度や汚れやすさも踏まえて選定するとよいでしょう。
サイズ(幅・奥行)から選ぶ
設置スペースの寸法を事前に測っておかないと、搬入後に想定より圧迫感が出てしまうことがあります。幅だけでなく奥行きや脚部の張り出し寸法も確認し、通路幅を確保できるか図面上でシミュレーションしておくと安心です。可動式の場合は移動時の回転半径も考慮しておくと、レイアウト変更の自由度が保てます。
連結の可否から選ぶ
将来的にレイアウトを拡張する可能性があるなら、連結対応の製品を選んでおくと後々の追加購入がスムーズです。ジョイント金具の規格がメーカーによって異なるため、追加発注時は同一シリーズでの購入が基本となります。長期的な運用計画がある場合は、拡張性まで見据えた選定をおすすめします。
ローパーテーションの活用事例

実際のオフィスでは、ローパーテーションがどのような場面で活躍しているのでしょうか。ここでは4つの代表的な設置事例を紹介します。
簡易打ち合わせスペースへの設置事例
オープンフロアの一角にローパーテーションを設置し、簡易的な打ち合わせコーナーとして活用する事例が増えています。会議室を予約するほどではない立ち話や少人数の確認作業に適しており、フロアの一部を素早くミーティング用途に転換できます。連結タイプを使ってコの字型に区切れば、周囲の視線を程よく遮りながら会話に集中できる環境が作れます。
休憩スペース・リフレッシュエリアへの設置事例
グリーンタイプや布張りタイプを使い、休憩スペースの境界を柔らかく示す設置例も見られます。執務エリアとの間に視覚的な区切りを設けることで、休憩中の気持ちの切り替えがしやすくなるという声もあります。植物モチーフのデザインを取り入れることで、リフレッシュ効果を高める演出としても機能します。
執務デスクの目隠しとしての設置事例
対面式レイアウトのデスクにローパーテーションを挟み、正面からの視線を軽減する使い方が定番となっています。画面の覗き見防止や集中力の維持を目的に、900mm前後の高さがよく選ばれています。キャスター付きタイプであれば座席替えの際にも設置場所を柔軟に調整できます。
受付・応接エリアでの設置事例
来客対応スペースでは、木目調やアクリルタイプのローパーテーションが装飾性と機能性を兼ねた形で使われています。受付カウンター横に設置することで、社内の執務エリアが来客の視界に入りにくくなり、企業の第一印象を整える効果も期待できます。応接ソファ周りに配置し、隣接する打ち合わせブースとの緩やかな区切りとして活用する例も見られます。
ローパーテーションの価格相場

ローパーテーションの価格は、サイズと素材によって大きく変動します。導入予算を検討する際の目安として、サイズ別・素材別の価格帯を整理しました。
サイズ別の価格目安
幅900mm・高さ900mm前後の標準的なサイズであれば、1台あたり2万円台〜4万円台で購入できる製品が多く見られます。幅1200mmを超える大型サイズや、高さ1200mmクラスの製品になると4万円台〜7万円台まで価格帯が上がる傾向があります。連結パーツやキャスターなどのオプションを追加すると、その分費用が加算される点もあらかじめ見込んでおくとよいでしょう。
素材別の価格差
布張りタイプは比較的手に取りやすい価格帯にある一方、木目調やアクリルパネルを使用した製品は加工工程が増えるため単価が上がりやすい傾向があります。吸音材を組み込んだタイプは機能性の分だけ価格に上乗せされることが一般的です。以下は素材ごとのおおよその価格イメージです。
まとめ

ローパーテーションとは、視線をゆるやかに遮りながら空間の開放感を保てる間仕切り什器です。種類や高さによって得られる効果は異なり、設置目的を明確にしたうえで選ぶことが失敗を防ぐポイントとなります。工事不要で導入でき、レイアウト変更にも柔軟に対応できる点は、変化の多いオフィス環境との相性のよさを物語っています。防音性の限界など注意点も踏まえながら、自社の課題に合った一台を検討してみてください。
ローパーテーションとはについてよくある質問

- ローパーテーションとハイパーテーションはどちらを選べばよいですか
- 視線を完全に遮り会議室のような独立性を求める場合はハイパーテーション、開放感を保ちながら緩やかに区切りたい場合はローパーテーションが適しています。設置場所の用途に合わせて使い分けるのが基本です。
- ローパーテーションだけで音漏れは防げますか
- 吸音タイプであっても遮音効果は限定的で、会話の内容が聞こえてしまう可能性は残ります。機密性の高い会話が発生する場所には、防音仕様の間仕切りや個室ブースの併用を検討してください。
- 賃貸オフィスでも設置できますか
- 床置き型や自立型のローパーテーションは壁や床への工事が不要な製品が多いため、原状回復義務のある賃貸オフィスでも導入しやすい傾向にあります。事前に管理会社への確認をおすすめします。
- レイアウト変更時に自分たちで移動できますか
- キャスター付きタイプであれば女性一人でも移動できる軽量設計のものが多く見られます。連結・床置きタイプの場合は複数人での移動が必要になることがあります。
- 中古のローパーテーションでも問題ありませんか
- 表面の傷や色あせが目立たない状態であれば中古品でも十分に活用できます。ただし吸音材やクッション性のある製品は経年劣化により機能が落ちている場合があるため、購入前の実物確認をおすすめします。



